福岡で訪問歯科治療を行っている(医)ハート訪問診療部からのお知らせ

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2017/11/08

西田 亙先生の「炎症でつながる糖尿病と歯周病」講演会

image1 image2 image3 11月4日(土)に 福岡県歯科保険医協会 学術講演会に行って来ました。西田 亙先生は 愛媛県松山市で 糖尿病専門医として開業されている先生です。
  西田 亙先生は 「時として う蝕(虫歯)や歯周病が 人の命を奪う事がある。」と内科医の立場からお話しされました。
大学病院勤務時代に学んだ事として紹介されたのが
①長年 う蝕や歯周病の治療を放置した為 お口の中の細菌が肺に入り 命を落とすような肺化膿症になった20代の糖尿病の女性の症例
②11年前に入れたインプラントのメンテナンスに歯科医院を訪れなかった為に、人工股関節の手術後 2週間後に敗血症(手術した骨が腐る)を起こした71歳の糖尿病の女性の症例を紹介されました。術前に既往歴や手術歴を聞くことがはあってもインプラントの埋入歴を聞く事は 医学部の教科書では教えてないそうです。

また 「お口のケアは 命の分かれ目」とも。
2011年の東日本大震災で介護施設の震災後肺炎死亡率が 45%だったそうです。
肺炎の原因は口の中で繁殖する細菌でした。肺炎球菌は普段では極わずかしか存在しなかったのが 水不足やなどの震災生活で増えていったためでした。
避難生活で 口腔ケアした方としなかった(出来なかった)方で その後の肺炎や死亡のリスクが 全く違ったものになったのです。
水が不足する災害時の口腔ケアは、専用のウェットティッシュを指に巻き付け口の中を掃除する場合が多いそうです。
  お口の中は 乾燥すると雑菌が繁殖するので保湿する事も大切です。唾液を出すマッサージが効果的で耳下腺・顎下腺・舌下腺を指の腹や手のひらで優しく刺激します。口腔ケアは肺炎予防になるので、多少 肺炎を発症していても重症化を抑え誤嚥を防ぐこともできるのです。

それから お話は 震災などに備えた日本の緊急避難袋のチェク項目の事にも。
<歯ブラシ>が 入っていないのが殆どだと!
海外のの避難袋には口腔ケア用品が入ってるのに!
とアメリカのサバイバルメーカーSOLの避難袋を紹介されてました。

そして 一番衝撃的なお話が「口腔子宮感染症」でした。
歯肉縁下の細菌が血液を通って子宮に入り 39週と5日で死産になったアメリカの赤ちゃんの話でした。母親は妊娠関連歯周炎で歯肉から出血があり 死産3日前に風邪をひき発熱があったそうです。
死産した赤ちゃんを解剖したところ 羊水は猛烈な悪臭を放つ血がまざったもので胎児も悪臭に包まれ 肺は3倍に腫れていたそうです。
膣からでも 便からでもなく お口の中にいる細菌(嫌気性菌)が原因だったのです。
歯周病の原因菌となるのは、歯肉縁下プラーク(歯肉の下にできた歯周ポケットに入り込んだプラーク)の中の細菌です。嫌気性菌といって空気のないところでよく繁殖する菌で、空気に触れない歯周ポケットの中で増殖し、歯周病を悪化させる毒素の強い細菌です。歯肉の下にあるので、自分で歯磨きしてもきれいに落とすことができません。ですから 定期的に歯科医院にてメンテナンスを受ける事がとても重要なのです。
 
また 自分で出来る口腔ケアとして歯ブラシを使った歯磨きにプラスして デンタルフロスや歯間ブラシの使用が 歯周病予防には とても重要で、歯と歯の間の歯間部の歯垢を除去するのが何より大事なのだと<内科医>の西田 亙先生が 力説されてました‼️


西田 亙先生は 「歯科治療は 時を超えて人の命を左右する事がある。歯科医療は まだ見ぬ命をも救う。
そして これからの歯科医療は 炎症消退を通して国民の健幸!に寄与する」と締めくくられました。

樋口矯正歯科クリニック 訪問診療部の歯科医師の上岡先生が 「口腔ケアは お口の中だけの事ではなく 全身の健康も担っているんですよ。」と患者さんやそのご家族にお話になっているのをよく耳にします。歯科だけでなく医科の先生からもこの様なお話が聞けて とても 嬉しく思い、感激した講習会でした。


私達 訪問診療部は 入院先の患者さんの診療・口腔ケアも行なっています。経管栄養によりお口から食事されてない方もいらっしゃるのですが 知られていないのが 経管栄養の患者さんの方が ずっとずっと汚れていて、とても辛いお口の状態でいらっしゃるという事です。口から水分や食物を摂取しないからこそ 唾液の分泌が少なく とても乾燥した荒れたお口で毎日 過ごしていらっしゃいます。

日々の生活が 少しでも 快適なものになるお手伝いが出来たらと三人で 楽しく にぎやかに 訪問しています😊

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